作詞家 Makoto ATOZIの作詞講座コラム 作詞の体温

歌詞は説明ではなく、体温を描く。

良い歌には体温がある。
もっと言うならば、良い歌詞は、
字面を見た時に、
書いている人の姿が見えてくる。

まるで自分宛の手紙を読むように、
歌詞の一つ一つの言葉が、
心に届く感覚がある。

では、そのような歌詞を書くにはどうすればいいのか。
私は歌を書く際に、情景よりも、
”言葉”を思い出すことを大切にしている。

人生の中で、
歌の相手が語った言葉。
教えてくれた言葉。
心に届いた言葉。
または、
時間が経ってから意味が解けた言葉。
それらの言葉を抱えて生きている相手に、
歌の中に登場してもらう。
そっと伝える。
自分の側からも、
言語化されていない感情を言葉にする。

どんなに寒い冬にも、
私たちの身体には体温がある。
私たちの言葉にも体温はある。

かけてもらった言葉によって、
心に安心が広がるように、
気づきが後ほど生まれるように、
歌によって届く、
安らぎはある。

私は愛しさとは体温のことだと思う。
身体的感覚としての温もり。
ここに言葉が重なり合うとき、
私たちの心には灯りが灯される。

どんなに優れたメロディーも、
どんなに高度な技術も、
体温のない歌は
時代を超えて残ることはない。

人々の心の裏側ばかりが見えてしまう時代。
そのような姿を描けば、
共感されるかもしれないけれど、
やがてそのような歌を書いた心は蝕まれていく。

だから36度あたりの体温で、
描かれていく日常の姿。
歌によっては至高の愛の姿。
それが”言葉”により導かれたとき、
人々の心の琴線は響く。

わかりきったようなことを言いながらも、
私も毎回毎回、0から書くというスタート。
今回は書けるのだろうかと、
いつも、不安と期待とで書き始める。

作詞は一人で磨き完成させることもできますが、
他者の視点が入ることで、
見えていなかった輪郭が見えてくることがあります。
必要な方にだけ、
扉は開かれています。

▶︎作詞家 Makoto ATOZIの作詞添削

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