詩 バタフライ伝説
小川の水面は柔らかく柔らかく それはとろけあう桃のように光り流れる 私が部屋で読書をするときも 目を閉じて呼吸を整えるときも マリオネットの如く内的または外的な 操りの糸に惑うときも 変わることなく小川は流れる 私の今このとき 同じとき 鳥は羽ばたき 車は走る 誰かは何かを考え 誰かと誰かは接吻をしている またはもっと深く 私がひとつくしゃみをしたからといって 川の流れが逆になったりはしないのだけれど 私が何か意図したときに 一羽の蝶が生まれるなんてことは? 私にあなたに愛満ちるときに 太陽が私たちを抱擁するなんてことは? 川の水面の輝きが変わるなんていうことは? きっと あるのかもしれないと思うと とても とても 楽しい それを私はバタフライ現象のように...
Read out all詩/ 詩に草原の薫る頃
詩に草原の薫る頃 それは太陽の朝焼け あの日の少年は子供部屋でケルト神話に夢めくり かすみ草のような笑顔に恋をしていた頃 胸抑えた密かな鍵っ子のテレビジョン 童が真似る大人恋の演技 土砂降りの接吻 詩に草原の薫る頃 星空はオーケストラ 神様はいつも一緒 仏壇に手合わせ瞳閉じて内側に光る橙光 洋菓子釜戸とカスティラの深い匂い 手作り小屋 離れ子供部屋の登り手はアスファルト 煙草煙舞う店に聴こえるパープルレイン 人とは違うも気づかずに手にする美人画切手 重ねる年月ごとに詩に説教が滲む今思う 詩は草原の薫る頃 目覚めたリビドーの熱 それを諭すような真我の声 従えるなら詩人は今もなお 詩に草原の薫る頃 あれは鮎の友釣り ピチャピチャと光る水の冷たさ 麦わら帽子の従兄弟 またはサンシャインビルへの寝台列車 首にパネル下げて 下敷きに映し見た後ろの机 気になるあの子 少年は移り気...
Read out all詩 花はひとりではない
花はひとりではない 花はひとりではないのです 何枚もの花びらが 寄り添い初めて花になる 花はひとりではないのです 何枚もの緑葉が 寄り添い初めて花になる 花はひとりではないのです 何本もの根っこが 寄り添い初めて花になる 花はひとりではないのです 振り向けば 私たちも
Read out all詩 虹はたしかにそこにいる
虹はたしかにそこにいる 虹は今頃なにしている 空の向こうで なに想う 雨と一緒に待っている 太陽さんとお話ししている 虹は今頃 誓うだろう 「雨のあとには わたしが来ます 見事な七色待っててごらん 空にでっかい希望のアーチ」 ときめくあの日のようでしょう せつなくうれしいときめきよ 虹は今頃どこにいる 左の胸に手をあてて ドクンドクンとたしかめる 虹はいつでもそこにいる 虹はたしかに そこにいる
Read out all詩 僕たちが見ているもの
僕たちが見ているもの 僕たちが見ている あの空あなたにはどんな色に見えていますか 僕たちが聴いている あのメロデイ 音色はおなじなのでしょうか 僕たちが耐えるべき試練 つらさはおなじなのでしょうか 僕たちが使う言葉 重さは同じなのでしょうか 僕たちが住んでいる世界 本当にひとつなのでしょうか 僕たちが愛するとき 愛の重さは 見えていますか 全ては移ろいゆく自分の心でさえ だけどごらんよ空はつながっている さえぎるものなんて何ひとつとしてない つくられざる青空雲が姿を変えてゆくだけ
Read out all詩 世界を止めるほどに踊れ
世界を止めるほどに踊れ 世界を止めるほどに踊れ 彼の眼差しは言う 世界を止めるほどに生きろ 切実な鼓動が叫ぶ エンターテイナーの哀しみ 夜に開かれた池袋の残像 世界を止めるほどに踊れ 彼の魂は訴える 踊っているか? 生きているか? 彼の眼差しは言う 3分間の物語 自分を恥じる 眼差しに胸の奥の時が止まる 踊っているか? 生きているか? 一瞬一瞬を重ねてゆけ 世界を止めるほどに生きろ その時何かが見えるだろう 彼の眼差しは言う 積み重ねてきた真実は 幸せに世界を止める
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