私は歌を書くとき、
『この歌は50年の年月を経ても聴き続けてもらえるだろうか』
ということを、どこかで思うようにしています。
それはあるときから始まった、
私の儀式のようなものです。
作詞家になりたての頃は、
そのようなことは考えないで歌を書いていました。
ラブソングには大きく分けて3つ+1つの時系列があります。
一つ目は、別れた人を思う歌。
二つ目は、恋焦がれる人を思う歌。
三つ目は、相思相愛の現在進行形の歌。
そして、天国へと旅立った人を偲ぶ歌。
いずれにしても、歌には必ず相手がいます。
たとえファンタジーで書いたとしても、
歌の中には必ず、
何らかの形で誰かの存在が描き込まれます。
まず最初に、自分の書いた歌は無意識で誰かのことを傷つけてはいないか。
その歌を聴いた相手は救われるのか。
少なくとも、作詞を学びはじめた段階で、ここまで考える人は多くないように思います。
たとえば書いた歌がヒットする。
それが相思相愛の歌であったとします。
歌を書いて5年後には、
お互いは別れてしまいました。
それでも歌は残るのです。
アーティストは何年も何十年も、
この強い念の込められたラブソングを歌い続けます。
コンサートでも歌います。
つまり、時間の経った後では、
相手・本人の気持ちが不在で、
歌だけが一人で成長することになります。
その歌は誰かのことを傷つけてはいないか。
今も、私自身、
この自分への強烈な問いかけに、
胸が苦しくなることがあります。
それはアーティスト、そして作詞家の深い業です。
時代を経ても色褪せない歌。
そう言えば、素敵に聞こえますが、
時代を経ても色褪せない分だけの業が歌には残されます。
中島みゆきさんの歌では大切なメッセージを、
このように歌われています。
『愛だけを残せ』
書いた歌が50年経ったとき、
その歌に、愛は残されているか。
私たちは試されているのだと思います。
詩人・作詞家
Makoto ATOZI
人数限定で特別作詞講座を開講しています。
必要な方には扉は開かれています。
歌詞を、時間に耐える言葉として見つめ直したい方へ。
