ここ最近、山本耀司さん、中島みゆきさんなどに触れて、
作詞講座コラム、YouTubeなどで語っていましたが、
知れば知るほどに、
簡単に語れるような方々ではないと思えてきています。
私の中には畏れのような感情があります。
本物の表現には、軽く触れられないほどの思想が宿っている。
そのことを考えているうちに、
私は若い頃に服を売っていた日々を思い出しました。
私は音楽と同じように服が好きです。
若い日々、
今はなき、
当時はブティックと呼ばれていた場所で、
男性ハウスマヌカン、今で言えばアパレル販売員として働いていました。
服が、着る人の生き方までも変えるという姿を何度も見てきました。
服にも音楽と同じように、
纏う人の人生を変える力があります。
当時、服はアパレル販売員の力で売れるのではなく、
デザイナーが服に注いだ哲学によって売れるのだと確信したことがありました。
お客様に似合うと思う一着を、
こちらが提案する。
お客様はそれを手に取り、試着室に入る。
そして試着室から出てきたとき、
一段と垢抜け、磨きがかかった自分の姿を見て、
お客様は、
”どうしてもこの服が自分の人生には必要なのだ”という感覚になります。
それは、まるで魔法にかけられた一瞬のようにも見えます。
たとえ今、お金の持ち合わせがなくても、
お客様は取り置きにしてでも、
その服が欲しくて欲しくてたまらなくなる。
いや、欲しいというよりも、
”この服は自分の人生なのだ”と感じる。
本当に仕立てが良く、哲学が注がれた服にはそのような力があります。
私は、デザイナーの哲学が染み込んだ服が人にかける魔法を何度も見てきました。
音楽も同じです。
歌詞を書くときも、メロディーに似合わない言葉を無理に着せても、歌は立ち上がらない。
どんなに上手い言葉でも、そのメロディー、その声、そのアーティストに似合わなければ違う。
そして、本当に似合う言葉が見つかったとき、
歌は売り込まなくても立ち上がります。
メロディーに似合う、とっておきの言葉を差し出せば、
売り込まなくても、歌は選ばれる。
ディレクターが、アーティストが、聴き手が、
「これだ」と感じる瞬間がある。
そうすると、その歌詞は選ばれるべきものとして立ち上がる。
確かに楽曲・歌詞が選ばれる背景には、
時代的作用、音楽制作の情勢、力関係なども無いとは言えません。
それでも、世間一般が思うよりも、
音楽業界の第一線で制作をしている方々は、
こと音楽制作に関してはかなり純粋です。
良い歌にするためであれば常識さえも破壊するという気概があります。
それが音楽業界の良さであると私は思っています。
人が哲学のある服を着ることで、暮らしまでも変えていくように、
音楽は、歌詞によって大きく姿を変えます。
そして本物の歌詞には、
国境を超えて響く力があると私は信じています。
私の作詞講座では、言葉を飾る技術だけでなく、
メロディーにどんな言葉が似合うのか、
歌い手の声にどんな言葉を纏わせるべきなのかを一緒に見ています。
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