【作詞講座コラム】静けさと野心のあいだで歌を書く

昨日の作詞講座コラムの続きになりますが、
『愛だけを残せ』という言葉がまだ心に響くなら、
私たちはまだ間に合うのだと思います。

クリエイター、アーティストは表現において何を残すべきか。
その答えは、私の中では少しずつ明確になってきています。
音の響き、心地よさ、見せかけだけではなく、
本当に人の心の琴線に歌が響いたとき、
歌は次の段階へと昇華されるのでしょう。

私は一時期、ヨガ哲学に専念していた時期がありました。
朝と夜に、長時間の瞑想を行い、
イーシュワラプラニダーナ(Īśvarapraṇidhāna)
大いなる存在に全てを任せること。
そのような暮らしに専念していました。

ある意味では、今も同じ暮らしですが、
小さくて古いアパートに移り住み、
方丈記のような暮らしをしています。

だけど、そのような暮らしをしている中で、
静けさだけでは、人生は前へ進まないのかもしれないと思い始めました。

意欲と野心。
それは大切な人やものを守る力です。
先日触れた、Yohji Yamamoto A/W 2026-27のショーでも、
Yohjiの深いテーマはここにあると私は感じました。

ヨーガスートラには、実践すべき大切な姿勢として、
アヒンサー(アヒムサー)
“非暴力”があります。
争わないこと。
これはインド独立の父、
ガンジーが掲げた思想としても有名ですね。

ガンジーの思想は、暴力に対して暴力で返さないという、
非常に強い精神性を伴うものでした。
それは単なる弱さではなく、
大きな力に対して、別の力で立ち向かう姿勢だったのだと思います。

その不屈の精神は、
インド独立の大きな力のひとつになりました。

もっと優しいアヒムサーもあります。
たとえば部屋に入り込んできた虫を、
殺傷することなく外へと逃がしてあげること。
または放っておくこと。
肉食を避けること。

私の場合、卵はいただきますので、
厳格なアヒムサーとは言えない。

だから心から感謝をして、
いつも少量の食事をいただくことにしています。

私はYohji Yamamotoのショーから、
戦いのある世界のなかで自分を守り、大切なものを守り、
力強く生きていく男たちの姿を受け取りました。

これからの時代、
歌にはどのような精神が必要なのでしょう。
ただ、踊れれば良いのでしょうか。
スタイリッシュであれば良いのでしょうか。
意外性があれば良いのでしょうか。

私はそうは思いません。

時代に杭を打つような、
痕跡を残すような歌。

まさに、「愛だけを残せ」の精神です。

この世界には、まだたくさんの大きな愛がある。
私はそれを信じて、
これからも歌を書いていきたいと思います。

私の作詞講座に来てくださる生徒さんにも、
今の時代の中で迷う人々の心に届く歌、
明日へ向かうための希望が見えてくる歌を、
書いてもらえたなら嬉しい。

そして、そのような歌を書くことが、
生徒さん自身の希望にもなるような作詞講座にしていきたいと思っています。

私は今年、
戦わず、でも、立ち向かいます。
傷つけずに、挑みます。

挑む日々の中では、
誰かを傷つけることを完全に避けられないこともある。
それでも私は、思想としてのアヒムサーを持ち続けたい。
戦いながらも、戦わない。
挑みながらも、傷つけることを目的にしない。

作詞にも、アヒムサーは必要です。
言葉は人を傷つけることもできる。
けれど、言葉は人を守ることもできる。

その根底に「相手を破壊したい」のではなく、
「大切なものを守りたい」「愛を残したい」
「本物の表現へ向かいたい」という思想があるかどうか。

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