2022年7月13日発売
上白石萌音アルバム『name』の2曲目に、
楽曲『ジェリーフィッシュ』の作詞家として起用していただいた。
あれから気がつけば、ずいぶん時間が経った。
制作の始まりは、敬愛する作曲家・金子隆博さんからの連絡だった。
上白石萌音さんの楽曲に歌詞を書かせていただけるという、
作詞家としてとても光栄なお話だった。
私はこのメロディーに対して何枚の歌詞を書いただろう。
あらゆる可能性と方向性から、
それぞれにテーマの異なる歌詞を書いた。
それでも、なかなか自分の中で“これだ”と思える場所に辿り着かなかった。
金子さんは、私が楽曲の核に辿り着くまで、
根気よく待ってくださっていた。
作詞家として、深く感謝している。
私はこの楽曲を最高の歌にして、
上白石萌音さんが歌うに相応しい歌にしたかった。
その歌詞を私の手で書きたかった。
シングルカットを狙うような気持ちで書いていた。
上白石萌音さんには、
どこか多くの人の中にある
恋愛の原風景を呼び起こすような佇まいがある。
まるで懐かしい思い出のような、
ときめきの予感のような空気を纏う魅力的な女性。
そして私はかつて深く心を寄せた女性の佇まいや、
日常の中にあった光を心に描き、
それを上白石萌音さんの姿に投影しながら歌詞を書いた。
激流の時代、不確かな世の中で、
それでも前を見て歩み続ける力強い女性の姿。
憧れを持ち、夢を描く気持ちをなくさず、
いつまでも羽ばたき続ける女性の姿。
紆余曲折の中で出てきた言葉が、
歌詞の入り口にある「おはよう」というフレーズだった。
上白石萌音さんの声で、
気だるさと希望の気配が滲むジャズサウンドの中、
歌の始まりに『おはよう』と歌う。
その姿が見えた時、この歌は走り出した。
『ジェリーフィッシュ』の歌詞はそこから一気に書き上がった。
その後で、細かな修正はあったけれど、
テーマが決まった後は不思議なほどに軽々と歌が書けた。
あんなにも苦労していた数日はなんだったのかと思うほどだった。
私はこの歌を書かせていただけたことで、
私の中での作詞という灯りに、
また一際大きな灯りがともされた気がした。
日本が誇る女優であり、アーティストでもある方に歌を書く。
それはとてつもなく大きな意味を持つことだと思う。
この仕事に恥じないように、
これからも私が思う作詞の道を、
迷いなく歩いていきたい。
今年、私には新たな目標ができた。
国境を超えて、
世界に届く歌を書く。
世界に響く歌を書く。
ここ最近、リリースもない作詞家が言うには、
かなりのビッグマウスだけれど、
案外、今まで、
私は、自分が”こうなる”と口にしたことは叶えてきている。
ここ最近、作詞家である自分を嬉しく思うことが多い。
15年ほどの低迷期を生きてきた。
沈黙と孤独と灯り。
いくつもの思いを通り抜けてきた。
だからこそ、今、
歌を書き、それを教えることも道にしていきたい。
作詞の仕事をしながら、
書き方を教えることもしています。
必要な方には扉は開かれています。
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作詞家 Makoto ATOZI
