作詞が自己満足になる理由

多くの歌詞は、自己満足から始まります。

集中力の欠如、使い回しのような物語。
または、思いつきだけの書き出し。
自分だけが”すごいと思う”ような内容。
ついつい、惰性で書くように作詞をして、
それでも案外良い歌が出来上がったように思い、
自己満足の罠に陥ることがあります。

作詞講座に提出される歌詞を拝見しても、
ああ、自己満足だなと思わずにはいられない歌が多い。

人は誰でも自分が生み出したものに
過剰に価値を与えようとするものです。
自分こそがナンバーワン。
井の中の蛙であればあるほどにその傾向は強くなる。

自己満足の起きる原因の一つに、
私がよく言う構造の問題があります。
そして、作詞の構造、ロジックを、
自分自身で言語化できていないというところにも原因があります。
つまり自分自身でも、
どのような歌詞が良い歌詞で、
どのような歌詞が自己満足なのかが
正確に言語化できていないのです。
それなのに勢いで書こうとする。
そして自分が書いたものは一字一句変えたくないという
妙なプライドが邪魔をする。

改善のポイントは作詞には制約があるということを、
認め理解することから始まります。

作詞は音楽の一部ですから、
当然、メロディーの制約があります。
物語の制約もあります。
それらの枠組みの中で、
どれだけ想定外のエンターティメントを生み出すことができるか。
その勝負であるということが作詞の本性です。

伝えたい気持ちが強すぎる。意味を優先してしまう。
文章として完成させようとして長文になる。
美しい言葉を選びすぎて自己満足に浸る。
体験は本当は体感なのに説明するような言葉で描かれている。
書き手の自己満足な歌にはそのような傾向が見受けられます。

そしてもう一つ。
歌は、正しいことを書く場所ではないのです。
感謝はとても良いことだから感謝しましょうと歌っても、
それでは人々の心から感動を呼び起こすことは難しい。
愛しているからといって、
「愛している」ばかりを連呼するとB級ソングになる。

まずは作詞とは何なのか。
作詞をする上で、これを守ると歌が良くなるという制約とは何か。
この二つを言語化すること。
言語化されたルールは人によって異なっていてもいい。
制約は多い人も少ない人もいる。
それがあなたの作詞に対する美学になります。

そして自分が言語化して設定した美学に則って、
あなたが思うストイックな歌を書く。
そうすることで、きっと、
自己満足の罠から抜け出すことができるはずです。

作詞は一人で完成させることもできますが、
第三者の視点が入ることで、
見えていなかった輪郭が見えてくることがあります。

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