作詞の方法には大きく分けて3つの方法があります。
一つ目は曲先。作曲家がメロディーを考えて、
作詞家は音源を聴きながら作詞をします。
二つ目は詞先。メロディーのまだついていない状態で、
作詞家が0から歌詞を書きます。
三つ目はシンガーソングライティング。
クリエイターは曲を書きながら同時に歌詞も書きます。
作詞家の仕事としては、通常、曲先か、詞先のどちらかになります。
私が書いてきた歌の中にも中村美律子さんの『ようやったね」
前川清さんの『霖霖と』など詞先で書いた歌は多いです。
演歌に限ったことではなくJーPOPの制作でも、
私の場合は詞先で歌詞を書いてリリースされた歌が数曲あります。
これは現在のJーPOPの現場事情でいえば稀有なケースであるといえます。
それでも詞先の歌詞を求める作曲家は今でも多く存在します。
それは優れた作詞家が書いた詞先の歌詞の中には
すでにメロディーの輪郭が潜んでいることを作曲家は知っているからです。
歌詞がある方がイメージが湧きやすいのだとおっしゃることがあります。
とはいえ、歌詞が先であれば何でも良いというわけではありません。
1コーラスと2コーラスの音数をしっかりと揃えて、
様式美に沿った美しい語数で歌詞を書くこと。
これは重要なポイントになります。
曲先で書く歌詞であればメロディーのイメージにより導かれて言葉が紡ぎ出されることもありますが、詞先の場合はそのようなガイドとなる存在がありません。
そのため、詞先で歌詞を書くときには、
かなり内容を煮詰めてから書き始めることが多いです。
そうでないとなかなか最後まで濃密な内容を含ませた歌詞を書くということは難しいのです。
私の場合、曲先であれば時間がない場合などは特に、
タイトルと、ある程度のテーマが決まれば、
あとはメロディーに気持ちを委ねて歌詞を書き進めることもあります。
それとは異なり詞先で歌詞を書くときには、
どうしても今これを書きたいのだというテーマがあるときだけ書くことにしています。
実際、詞先で提出してくださいというコンペはレアなケースになります。
通常は作詞家の方で歌詞を先に書いて、
それを知人友人の作曲家などに渡して、
曲をつけていただく形になります。
要に迫られて書くというよりも、
書かずにいられないテーマがあるときに書く。
それが詞先の歌詞の自然な姿だと思います。
詞先で歌詞を書くためには、
普段から思いついた言葉、風景をメモしておくことは役に立ちます。
久しぶりに読み返したそれらの断片をもとに、
現在の自分の姿と繋がってテーマが展開して内容が確定し、
書き始めるということは多いです。
詞先での作詞は作詞家にとっての本領の見せ所でもあります。
作詞は一人で完結させることもできますが、
第三者の視点が入ることで、
見えていなかった輪郭が見えてくることがあります。
必要な方にだけ扉は開かれています。
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